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JIS Z 9015とMIL-STD-105E、AQLとSQL~混同しやすい用語

JIS Z 9015シリーズとMIL-STD-105Eは、しばしば混用されるようですので、両者の違いを、品質管理の手法の歴史的経緯をたどりながら解説させていただきます。

企業の品質基準内容などで、計数型抜取検査規格の意味で「抜き取り検査はMIL-STD-105Eに基づいています」などと記載していたり、「MIL規格は抜取り検査の意味である」という考えに基づた事例をみかけますが、これらは厳密には正しくありません。
「MIL規格(Military Standard)」とは、アメリカ国防総省が、米軍の物資調達のために制定した、AQLの元となった規格です。「MIL-STD-105」は、1950年にA版から発行され、後に日本でも統計的品質管理の手法のひとつとして利用されました。日本では1999年には「JIS Z 9015」として、同時期に国際規格「ISO 2859」としても制定されました。「MIL-STD-105」は、1989年のE版を最後に1995年に廃止されています。1993年には、ANSI規格「ANSI ASQC 1.4:1993」に内容が引き継がれ、現在は「ANSI ASQ 1.4:2003」となっています。
したがって、現在の抜き取り検査に関して「MIL-STD-105を用いている」と記述するのは、歴史的経緯からみても正しくないことがおわかりいただけるでしょう。

また、AQLとよく混同されるの用語に「SQL」がありますね。「SQL(エスキューエル)」は、リレーショナルデータベースの操作や定義を行なうための、データベース言語(問い合わせ言語)です。こちらもANSIやISOによって規格化されていますが、品質管理における合格品質水準であるAQLとは、全く別物ものです。

品質管理用語の略称はとかく混同しがちなので、使用するときにはくれぐれも注意しましょう。

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品質管理と品質保証に関する情報収集&分析をおこなっています。