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生産者危険と消費者危険とは?~OC曲線で見る品質水準

JIS Z 9015-1に基づく抜取り検査におけるロットの大きさを「N」、抜き取るサンプルの大きさを「n」、不良率を「p」、サンプルに含まれる不良の数を「x」とすると、不良品が出現する確率「P(x)」を計算することができます。
得られた計算式から、横軸にロットが合格する確率P、横軸にロットの不良率pを取りグラフ化したものが、JIS Z 9015-1抜取検査におけるOC曲線(Operating Characteristic Curve=検査特性曲線)となります。

OC曲線図















※曲線の形状は、抜取検査方式などによって変化します。
●AQL(p0:極力合格させたい不良率の上限)
●LTPD(p1:極力不合格としたい不良率の下限)
●生産者危険(α:AQLと同一不良率のロットの不合格確率)
●消費者危険(β:LTPDと同一不良率のロットの合格確率)

AQL(Acceptable Quality Level)方式での抜取検査は、ロットの合格率が95%であるような不良率p0を設定し、本来合格にしても良い品質水準のロットのうち、5%を抜き取り検査によって判定します。抜取り検査による判定は、本来合格とすべきロットが不合格と判定されてしまい生産者の損失を意味しますので「生産者危険」と呼ばれます。
一方、不良率p1のロットが合格する確率が10%と想定して行う抜き取り検査を、LTPD(Lot Tolerance Percent Defective)方式と呼んでいます。

JIS Z 9015-1の抜取検査手順と検査基準

ISO 2859シリーズに準じたJIS Z 9015-1の抜取検査手順を具体的に見ていきましょう。

1.目標となるaqlを設定します。aqlの決定は、絶対的な品質水準があればそれに合わせ、人命に関わることなど、重要なものほど厳しく設定します。また、ここで重要になるのは、工程平均とのバランスです。aqlを工程平均より良くすれば品質は向上します。しかし、それにより不合格が多いと生産効率は下がってしまいます。また平均より悪くすると合格率は上がりますが、品質も悪くなります。従って、達成可能な品質と希望する品質との妥協点に設定するのが理想的と言えるでしょう。

2.検査基準とロットの大きさを決めたら、JIS Z 9015-1の抜取表で照らし合わせ、サンプルサイズ文字を決定します。例えば、ロットが1500個で通常検査水準Ⅱであれば、サンプル文字は「K」となります。

3.次に対応する主抜取表で、サンプル文字と設定したAQL数値の交わる点を確認します。ここにAc(合格判定個数)とRe(不合格判定個数)が記されています。例えば、なみ検査・2回抜取方式で、サンプル文字が「K」、aqlが「1.5%」の場合は、「サンプルサイズは80個ずつ、第1回検査はAc2、Re5、第2回検査がAc6、Re7」となっています。この場合であれば、1回目の検査で不適合品が2個なら合格、不適合品が5個以上なら不合格となります。不適合品が3個と4個の場合は、2回目の検査を行い、不適合品が6個以下であれば合格とし、7個以上であればそのロットは不合格となります。

4.サンプルを抜き出し、これらの基準に基づき、検査・試験を行います。

5.ロットの合否を判定します。

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品質管理と品質保証に関する情報収集&分析をおこなっています。